「日にちは詳しく覚えていないけど今回、逮捕された奥さんが、ベランダ近くから“助けて! 殺される、殺される!”って叫んでいるのを2、3回聞いたことがあるよ。夜11時くらいだったから、びっくりしたね。2013年と'16年に(暴行事件で)立件されているってことだったから、そのころだったと思うけど」

 近隣住民が記憶をひも解き、夫の暴力に苦しんでいた妻の叫びを伝える。

 妻の名は太田桃子容疑者(48)。夫の透さん(50)の首を絞めて殺したとして11日、愛知県警に逮捕された。

「めいが旦那を殺した」

 11日正午、県警中村署に容疑者のおじを名乗る男性から通報があり、事件が明るみに。

「駆けつけた警察官が、死亡した男性および被疑者を発見し、午後0時36分、殺人容疑で緊急逮捕しました。被害者の首を絞めるなどして殺害したものです」(愛知県警察本部)

 事件現場は、愛知県名古屋市の地下鉄東山線本陣駅から徒歩約20分の住宅地。大通りに面した8階建てのマンションで、夫婦間殺人事件は起きた。

「犬の散歩中に見かけたことがありますが、奥さんは小柄で、おとなしい感じの人でした。ご主人は内装を手がけている方。体格がいいので、怒ったりしたら怖いような印象はありました。本当にDVがあったら大変だったと思いますよ

8階建ての分譲マンションの一室で…

 そう証言するのは、同じマンションの女性住人。直接、悲鳴を聞いたことや、奥さんがケガをしているのを目撃したことはないという。

被害者の父親は……

 2人は2002年ごろ、このマンションに引っ越してきた。夫婦のほかに「毛が長くてふわっとして、キャンキャン吠える小さい犬」(近隣住民)と夫の父との3人暮らし。

「エレベーターで一緒になればあいさつしたり、買い物袋を持っていれば“何を買ったんですか?”と声をかけたことはあります。ご主人はよくしゃべる人でしたが、家庭の事情までは知りませんでした」

 という近隣の男性住民は、

「夫婦と夫の父親の3人で暮らしているのに、家庭内暴力があったのか不思議に思いますね。お父さんがいないときにやっていたのか、お父さんがいても止めなかったのか」

 と、推理を働かせ、「今回はどうやら、お父さんがいないときに暴力をふるって事件につながったようですが、暴力をふるうような人には見えませんけどね。事件前日の昼間にも姿を見かけたけど、いつも結構プラプラしている人でね」と話す。

 過去2回、夫によるDVが暴力事件として立件されているが、その詳細を知る近隣住民はいなかった。事件当時、不在だった容疑者の義父は、今も、事件現場となったマンションに居住している。玄関口で対応してくれたが、

「もうテレビや新聞で(DVのことを)たたかれているので、これ以上は言えんよ。もう載ったらいやなんだよ。(暴力も)あったでいい、それでいい」

 と口は重い。息子の暴力を否定することはなかった。

 立件されるほどひどかった夫から妻へのDVの実態、それでも一緒に暮らし続けた妻の恐怖心は、いずれ法廷で明らかにされる。